自由財産の拡張(管財事件)

破産管財事件について、自由財産の拡張という制度が認められています。非常に重要な制度ですので、詳しく見ていきたいと思います。

(同時廃止事件ではこの制度はありません)

 

自由財産とは

まず、自由財産とは何かといいますと、破産管財人が回収すべき財産でない、破産者が自由に使用し、管理し、処分等ができる財産を言います。

管財人がすべての財産を配当に回すとなると、破産者は生活できなくなる恐れがありますから、一定の制限を設けているわけです。

大きく、3つに分けることができます。

 

  1. 破産手続開始決定日以後の原因により発生した財産
  2. 金銭(現金)99万円
  3. 金銭以外の差押禁止財産

 

3の差押禁止財産の具体例を挙げますと、生活に欠かすことのできない家具、衣服、寝具、食料、燃料、給料等です。

上記の3つの財産を「本来的自由財産」と呼ぶ場合があります。

 

 

自由財産を拡張する意味

よく見ていただくと、上の3つの本来的自由財産には預貯金が含まれていません。しかし、銀行の普通預金口座は、今や日常生活上、財布代わりとなっています。それなのに、この3つの財産しか自由に使えないとしたら、大変困ります。

そこで、上記の自由財産以外にも破産者の生活を確保する意味から、自由財産を普通預貯金口座を含めて、それ以外にも拡大して、認めてくれるわけです。

 

自由財産の拡張基準

大阪地裁では、次の7つの財産の拡張を認めています。(拡張適格財産)

  1. 預貯金・積立金
  2. 保険の解約返戻金
  3. 自動車
  4. 敷金・保証金返還請求権
  5. 退職金債権
  6. 電話加入権
  7. 過払金返還請求権(過払金)

尚、上記の7つ以外の財産の拡張は、原則として認めてもらえませんが、破産者の経済的再生に必要であり、相当であるときは、認めてくれる場合があります。

 

7つの財産の価額ですが、原則として時価評価です。しかし、4の敷金・保証金は契約金額から60万円(滞納家賃や明渡費用を考慮)を控除します。

5の退職金は原則として支給見込み額の8分の1で評価し、6の電話加入権は現在は0円です。

 

そして、拡張を希望する財産の額が現金と合わせて、99万円以下の場合、拡張を認めてくれるという流れになります。

 

実際には、破産申立書類に自由財産の拡張を希望する欄がありますので、そこにチェックを入れて、破産管財人との面談時に確認の上、認めてくれる場合が多いと思います。

 

当事務所で扱った管財事件で上記7つの財産で自由財産の拡張が認められなかった事例は、ありません。

その後は、何もなかったように、使用、管理することができます。

 

ひとつ、ご注意いただきたい点としては、7つの財産に不動産(自宅)は含まれていません。自宅は、破産管財人によって、売却され、売却代金は配当に回されるとお考えください。

 

また、7の過払金返還請求権というのは、単に引き直し計算してみたら、過払い金となっているだけでは不十分で、相手方業者と過払金額と返済期日の合意(和解)がすまされていることが必要です。