たけるさんは、28歳の独身男性です。
借金が、利息制限法によって再計算しても400万円ほど残りました。
たけるさんは、会社勤めとはいえ、お給料はそれほど多くはなく、毎月の貯金はほとん残りません。
借金の原因は、お給料がぐっと下がったときに、生活費が不足して借り入れたものです。
それ以来、雪だるま式に借金が膨らんでいったのです。
特に、パチンコにのめりこんだとか、買い物をしすぎたとかという問題はありませんでした。
私は、たけるさんに、借金整理の4つの方法をメリット、デメリットを含めて、説明し、みなみさんの意向を伺いました。
私「いま4つの解決方法を説明しましたが、どうですか」
たけるさん「任意整理と特定調停は、難しいことはよくわかりました。あとは、個人再生か自己破産ですが、正直にいって、自己破産は避けたいと思っています」
私「そうですか。私もたけるさんのご考えに同感です。すると、個人再生の方向で考えてみたいと思いますが、これから数か月家計簿をつけてもらうことにします。家計簿の目的は、個人再生が認められる貯金が、毎月できるかを確かめることです。正確に家計簿をつけてみてください」
たけるさん「はい わかりました」
こうしてたけるさんは、私の指示に従い、家計簿をつけることになりました。
私「このままだと、個人再生が認められるか微妙です。何か、支出を抑えられるものはありませんか」
たけるさん「携帯電話代やタバコ、酒、友人との飲み会は、減らせると思います。」
私「そうですか。どの程度減らせそうですか」
たけるさん「携帯電話月5000円、酒たばこで月10000円、飲み会等の付き合いで月5000円の月2万円なら減らせると思います」
私「そうですね。2万円減らせると、ずいぶん違います。みなみさんの再生計画で毎債権者に月あたり支払う金額は、約3万円です。これに数万円程度、臨時出費などを考慮して、毎月5万円程度、貯金ができるようだと、個人再生は大丈夫です。
2万円へらせると、大丈夫ですよ。あとは、実行に移すだけです。」
たけるさん「はい。わかりました。今日から節約をしていきます」
こうして、たけるさんの家計管理が始まりました。
たけるさんの率先した取り組みで家計状態は、改善し、無事個人再生が認められました。
400万円あった借金は、個人再生によって100万円まで減額になり、3年間でこの100万円を返済できれば、残り300万円は、支払う必要がなくなるのです。
たけるさん(仮名)は、まじめな方です。
家計簿をしっかりつけ、支出を減らす努力も惜しまず、 手続きの協力してくれました。
個人再生は、今後の返済能力があるか審査されますから、たけるみさんのような方は、裁判所も認めやすいです。
これが、お金の使い方が荒くて、毎月の支出の変動も多く、貯金額も少ない方は、個人再生の申立までに、改善しなければなりません。
借金解決とは、自らの家計を見直すことでもあるのです。
紹介例は、実際にあった事件をもとに作成していますが、登場人物の「たける(仮名)さん」は実在しません。
個人再生の例をお分かりいただけるように、事件の骨子をご紹介しました。