自己破産

破産手続きは、借金を背負った人が支払い不能に陥った場合に、その方の財産を債権者に対して、適正・公平に清算(分配)するとともに、その方の家庭生活の再生を確保するためのものです。

財産を債権者に分配と説明しましたが、自己破産の大半は、「破産財団をもって、破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」(破産法216条1項)に該当し、破産手続開始と同時に財産の清算(分配)手続きが終了します。

これを同時廃止事件といいます。

それ以外の場合には、破産手続開始の決定と同時に破産管財人が選任され、破産管財人が財産を換価して、債権者に公平に分配する手続きが行われます。これを破産管財事件と呼びます。

 一般消費者の方の破産は、圧倒的に同時廃止事件が多く占めます。

同時廃止と管財事件の詳細はこちらから☞


自己破産に対する不安と誤解

ところで、あなたは、次のような悩みや不安がありませんか?

✅破産すると、財産はどうなるのか?

✅破産すると、会社から解雇されるのではないか?

✅誰にどう相談したらよいのか・・・

✅ブラックリストに登録されるんだろうか・・・・

✅自産しても家族に知られることはないか・・・

 

あてはまるものは、ありませんか。

次の項目で説明しますが、自己破産しても、何もかもすべて失うわけではなく、その後の生活に必要なものは維持できます。

自己破産しても、会社から借金していない限り、会社に知れることはありません。

自己破産の別名は「リフレッシュスタート」といいます。

「借金をなくして、新たな気持ちで再スタートしてもらう」という制度が自己破産です。

自己破産は、決してデメリットの多い借金解決の方法ではありません。


自己破産のデメリットとは

自己破産したときの影響(デメリット)を説明します。

挙げられるものとしては、資格制限と信用情報機関への登録(いわゆるブラック)です。

資格制限

司法書士や弁護士、税理士等の方が自己破産をするとその資格を失います。

また、会社の役員(取締役)の方も資格を失います。

この点ですが、それでは、ある人が破産者である場合には、取締役になることはできないでしょうか。

改正前の旧商法では、破産者であることが取締役の欠格事由とされていました。しかし、この規定が破産者(経営者)の早期の経済的再生の妨げになるおそれがあったことから、新会社法ではり、破産者であることは欠格事由から外されました。

そのため、過去に破産したのことある人でも、取締役になれないということはなくなりました。

しかし、現在就任中の取締役が自己破産をした場合は、民法により、会社との委任契約が終了し、その取締役は自動的に退任することになります。

そのため、その取締役が引き続き就任するためには、株主総会などで改めてその取締役を選任する必要があります。


信用情報機関への登録

信用情報機関に事故情報として登録されると一定期間、クレジットカードの発行が受けられなくなります。

しかし、これは自己破産に限ったわけではなく、任意整理や個人再生の各手続でも生じることではあります。

その他、管財事件となった場合の郵便物の制限などがありますが、一般消費者の方への影響としては、上記の信用情報機関への登録が挙げられます。


自己破産の現状と効果

自己破産を申し立てた人は、平成15年の約24万人をピークに減少していますが、それでもいまだ全国で何万人もいらっしゃいます。

それだけ、日本における債務整理の方法として、自己破産を選択する方が、数多くいらっしゃるという現実を直視しなければならないと思います。

特に、20代、30代といった若い方が、労働契約上不安定な立場に置かれている現状は、一刻も打破しなければならない日本の課題だと思います。
ところで、自己破産と聞いて、良いイメージを持つ方は、いらっしゃらないと思います。

できれば、誰でも自己破産は避けたいと思います。 

しかし、抱えている負債額と収入・支出を見比べてみると、任意整理どころか、個人再生をも断念しなければならない場合もあります。

こういった場合、私は債務整理の方針として、自己破産を考える場合に、その方の置かれたお立場や、自己破産した場合の影響等を、その方とよく話し合うように心掛けています。
ややもすれば、専門家は事務的に自己破産の手続きを提案したり、推し進めようという傾向がないとも言い切れないものですが、そこは慎重にしなければならないと思っております。

自己破産が認められれば、抱えていた負債の支払い義務は、消滅します。

自己破産の大きな効果はこの点にあります。


自己破産の事例

私が担当した自己破産の話をご紹介します。

 

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